七味五悦三会の旅

ハンデと共に楽しく生きる夫婦の旅ログ。

"残念な嘉義"の10日間を振り返る ②

のつづきです。

嘉義市の名物とされているのが、この火鷄飯。火鷄というのは七面鳥のことで、街のあちこちに火鷄飯を看板にした店があります。

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この火鷄飯も街をあげて盛り上げていこうという感じではなく、各店がそれぞれ頑張っている様子。他にも香菇肉羹や後に挙げるドリンクなど名物は沢山あるけど「知ってる人は知ってるけど…」という状態。何故、観光協会や商工会は名物料理の紹介をしないの?

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嘉義の食事は脂っこい。味付けも出汁より調味料に頼る傾向が高く塩気も強い。今ひとつ整った味の店が少なく、言ってしまえば「ハズレの店」を引く確率が高いし実際に高かった。美味い味に出会うのも一苦労で、台中なら適当に入った店でも一定レベル以上の味が保証された食事も嘉義では難しく不安定。かき氷などスイーツ系ですらハズレを引いてしまう有様。

脂っこく味が濃い点は土地が合わなかったのだろうと諦めるしかないけど、地元民で流行っているからと言って必ずしも美味しいわけでなく「美味しくない食事に遭遇する確率が高い」というのは如何ともし難い。(個人的に口に合わない味美味しくない味は全く別物と分けて考えています)

そんな中でなぜかGoogleマップの口コミを気にする商店がとても多い。悪い評価をつけられても来店のお礼をひとつひとつ書く店もあれば、逆に怒り心頭で言い訳の返事をする店も。客と店が口コミ欄で喧嘩してる例もある。★5評価をつけたら速攻でお礼が返ってくる事も割とよくあることで、かなり驚きました。

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私が嘉義の一番の特徴でハズレがないものとしてお薦めしたいのが、特産のレモンやグレープフレーツに梅干を合わせたドリンク。バリエーションが非常に多い。梅子葡萄柚緑がその代表で「梅干+生搾りグレープフルーツ+緑茶」の組合せ。これは美味い。梅干しも各店によって塩っぱい梅だったり、甘い砂糖漬けの梅だったりで、同じ名前のドリンクでも店で全然味が違います。このドリンク自体は台湾全土にありますが、嘉義のは一味違います。

どこも搾りたてで趣向を凝らしたドリンクにハズレはありませんでした。他にも卵黄を使ったドリンクがあったりと、他にない独自の進化を遂げていると思います。チェーン店のドリンクスタンドもありますが、ローカルや屋台のドリンクスタンドが非常に多く、発達しているのが特徴です。台北や台中ではあまりない事です。しかし、これも各店舗が個々に頑張ってるだけで名物にしようという機運がありません。

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嘉義市内には数カ所の公設市場があります。ひとつひとつの規模は大きくないですが、大変な賑わいです。今、日本でもそうですが市場が貴重な観光資源になっています。しかし嘉義の公設市場は台北や台中のそれと比べて明らかに衛生状態が良くない。マレーシアの片田舎の公設市場でもここまで酷くない。

人の沢山いる真昼間から子猫ほどもあるネズミが闊歩し、物を動かすと黒いヤツらが四散する。この衛生状態、台北や台中では許されないでしょう。どの国にも街にもネズミも害虫もいるけど、人が活動する真っ昼間に堂々と出現して人々が気にしないのは衛生観念が余りないように感じます。

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嘉義は大平洋戦争時に米軍の空襲で消失してしまったので、現在の街は戦後に建設されたものです。街の東側に保存状態が良い旧日本軍監獄跡の遺構があります。広大な敷地にあり活用方法は色々あると思うけど、そこに行くための足がなく特に活用もされていない。官製観光特区で映画KANOを取り上げて作った檜村に行くにも足がない。(KANOは当時大変な人気で、日台双方の観光客が押し寄せました)

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他にも故宮南院という立派で高度な文化施設ができたのに、やはり公共の足がない。故宮は隣の嘉義県にあるからというなら甚だしい縦割りだと思う。観光マップを作って撒けば良いという話ではない。

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嘉義ブラスバンドで有名な街で全国的にも強く、国際的な評価も高い。街にいくつかの楽器店を見つけたので、そこにヒントを得て調べてようやく知りました。でも音楽の街として売る気は無いようで、ホールは郊外で公共の足はなく活動が身近にはない。

街中に大きな公園がいくつかあるけど何もない。夜市も近いし野外ライブ会場でも作ればいいのにと思う。台中には野外ライブステージのほか、大道芸や個人がハンドクラフト品を販売したり、はたまた似顔絵描きが集まるような、出展エリアや環境を公園に作っている。中核市なのに嘉義以上に観光資源に乏しい台中に勝てないのはこう言う点の積み重ねかなと思う。

色んなとこを旅行してて思うのは、やはり文化の集積がない街は面白くないということ。文化と歴史は違う。この嘉義市も、マレーシアのミリ市も、クアラルンプールの華人街も、文化的集積に乏しく活動がわかりやすいところになく見えてこない。集積がない街は新しい文化の発信がない。商業と文化は密接な関係にあり、これらの集積の度合いは比例するのではないかと、観光客の目線から思います。