七味五悦三会の旅

ハンデと共に楽しく生きる夫婦の旅ログ。

"残念な嘉義"の10日間を振り返る ②

のつづきです。

嘉義市の名物とされているのが、この火鷄飯。火鷄というのは七面鳥のことで、街のあちこちに火鷄飯を看板にした店があります。

f:id:riyuetan:20190810214533j:image

この火鷄飯も街をあげて盛り上げていこうという感じではなく、各店がそれぞれ頑張っている様子。他にも香菇肉羹や後に挙げるドリンクなど名物は沢山あるけど「知ってる人は知ってるけど…」という状態。何故、観光協会や商工会は名物料理の紹介をしないの?

f:id:riyuetan:20190810214527j:image

嘉義の食事は脂っこい。味付けも出汁より調味料に頼る傾向が高く塩気も強い。今ひとつ整った味の店が少なく、言ってしまえば「ハズレの店」を引く確率が高いし実際に高かった。美味い味に出会うのも一苦労で、台中なら適当に入った店でも一定レベル以上の味が保証された食事も嘉義では難しく不安定。かき氷などスイーツ系ですらハズレを引いてしまう有様。

脂っこく味が濃い点は土地が合わなかったのだろうと諦めるしかないけど、地元民で流行っているからと言って必ずしも美味しいわけでなく「美味しくない食事に遭遇する確率が高い」というのは如何ともし難い。(個人的に口に合わない味美味しくない味は全く別物と分けて考えています)

そんな中でなぜかGoogleマップの口コミを気にする商店がとても多い。悪い評価をつけられても来店のお礼をひとつひとつ書く店もあれば、逆に怒り心頭で言い訳の返事をする店も。客と店が口コミ欄で喧嘩してる例もある。★5評価をつけたら速攻でお礼が返ってくる事も割とよくあることで、かなり驚きました。

f:id:riyuetan:20190811000819j:image

私が嘉義の一番の特徴でハズレがないものとしてお薦めしたいのが、特産のレモンやグレープフレーツに梅干を合わせたドリンク。バリエーションが非常に多い。梅子葡萄柚緑がその代表で「梅干+生搾りグレープフルーツ+緑茶」の組合せ。これは美味い。梅干しも各店によって塩っぱい梅だったり、甘い砂糖漬けの梅だったりで、同じ名前のドリンクでも店で全然味が違います。このドリンク自体は台湾全土にありますが、嘉義のは一味違います。

どこも搾りたてで趣向を凝らしたドリンクにハズレはありませんでした。他にも卵黄を使ったドリンクがあったりと、他にない独自の進化を遂げていると思います。チェーン店のドリンクスタンドもありますが、ローカルや屋台のドリンクスタンドが非常に多く、発達しているのが特徴です。台北や台中ではあまりない事です。しかし、これも各店舗が個々に頑張ってるだけで名物にしようという機運がありません。

f:id:riyuetan:20190810214507j:image

嘉義市内には数カ所の公設市場があります。ひとつひとつの規模は大きくないですが、大変な賑わいです。今、日本でもそうですが市場が貴重な観光資源になっています。しかし嘉義の公設市場は台北や台中のそれと比べて明らかに衛生状態が良くない。マレーシアの片田舎の公設市場でもここまで酷くない。

人の沢山いる真昼間から子猫ほどもあるネズミが闊歩し、物を動かすと黒いヤツらが四散する。この衛生状態、台北や台中では許されないでしょう。どの国にも街にもネズミも害虫もいるけど、人が活動する真っ昼間に堂々と出現して人々が気にしないのは衛生観念が余りないように感じます。

f:id:riyuetan:20190810214516j:image

嘉義は大平洋戦争時に米軍の空襲で消失してしまったので、現在の街は戦後に建設されたものです。街の東側に保存状態が良い旧日本軍監獄跡の遺構があります。広大な敷地にあり活用方法は色々あると思うけど、そこに行くための足がなく特に活用もされていない。官製観光特区で映画KANOを取り上げて作った檜村に行くにも足がない。(KANOは当時大変な人気で、日台双方の観光客が押し寄せました)

f:id:riyuetan:20190810214426j:plain

他にも故宮南院という立派で高度な文化施設ができたのに、やはり公共の足がない。故宮は隣の嘉義県にあるからというなら甚だしい縦割りだと思う。観光マップを作って撒けば良いという話ではない。

f:id:riyuetan:20190817121854j:plain

嘉義ブラスバンドで有名な街で全国的にも強く、国際的な評価も高い。街にいくつかの楽器店を見つけたので、そこにヒントを得て調べてようやく知りました。でも音楽の街として売る気は無いようで、ホールは郊外で公共の足はなく活動が身近にはない。

街中に大きな公園がいくつかあるけど何もない。夜市も近いし野外ライブ会場でも作ればいいのにと思う。台中には野外ライブステージのほか、大道芸や個人がハンドクラフト品を販売したり、はたまた似顔絵描きが集まるような、出展エリアや環境を公園に作っている。中核市なのに嘉義以上に観光資源に乏しい台中に勝てないのはこう言う点の積み重ねかなと思う。

色んなとこを旅行してて思うのは、やはり文化の集積がない街は面白くないということ。文化と歴史は違う。この嘉義市も、マレーシアのミリ市も、クアラルンプールの華人街も、文化的集積に乏しく活動がわかりやすいところになく見えてこない。集積がない街は新しい文化の発信がない。商業と文化は密接な関係にあり、これらの集積の度合いは比例するのではないかと、観光客の目線から思います。

 

"残念な嘉義"の10日間を振り返る①

嘉義市は人口27万人程度。嘉義県の中に直轄市として嘉義市があります。従って嘉義県の県庁所在地は嘉義市ではありません。元々ここに住む人々は先住民族の平埔族、そしてかつて福建省漳州から来た客家人を中心にした人々ですが、歴史とともに漢人と同化が進んでます。

今回は観光客の勝手な目線で嘉義の残念な所を書きたいと思います。

f:id:riyuetan:20190810214542j:image

嘉義站は台湾観光の代表のひとつ、阿里山森林鉄道の始発駅で阿里山観光の玄関口です。街の中心は駅南側です。大型観光地への始発点でありながら、嘉義駅から徒歩10分圏内の商店はまばらでシャッター街もあったりで駅から見渡せる範囲の外は閑散。その割にホテルは沢山あり、完全に阿里山に行く人達が「寝に来るだけ」の状態です。

駅前には暇そうなタクシーが溜まり、改札口からでてくる観光客に片っ端から声をかけて客引きしてきますが、みんな阿里山へ連れて行こうとします。嘉義市内の話が全くでてこないあたり嘉義の立ち位置がうかがい知れますが、実は嘉義にも故宮南院など素晴らしい施設があります。

f:id:riyuetan:20190817121511j:plain

中国語で「不要!Bùyào!」と断りますが、駅前のコンビニに行くまでに5人は声をかけてきます。みんな阿里山へ連れて行こうとします。結構しつこい。

これでも嘉義は観光誘致に力を入れてるらしい。しかし現実は阿里山に行く人の一部が一晩寝るだけの場所で、日帰りの人は嘉義駅の外にすら出ずに台北や台南へ帰って行く。駅内観光案内所にも阿里山と何故か台北や台南など他の街のパンフレットが置かれている。

地元に素晴らしいものがありながら地元資源を軽んじて街が空洞化する例は、グヌンムル国立公園の玄関口、マレーシアのミリ市と同じ構図。こういうタイプの街は商業と文化の集積に乏しく面白くない。

f:id:riyuetan:20190810214538j:image

嘉義の商業の中心は嘉義文化路夜市を中心とした商店街。400m程度の夜市で毎日開催。特に金土日に屋台が多く土曜日がピーク。平日は3〜7割減りますが、それでも賑わっています。

他の商業地としては三越デパートと遠東百貨店のあるエリア、SHOWTIME映画館、耐斯広場 時尚百貨がありますが、それぞれエリアを形成するには至らず、そもそもデパート自体も小規模で、これでやって行けるのかと心配になるほど閑散としています。

いずれの施設も周囲には何もなく、徒歩移動は困難です。ごく小さな商業地が点在してしまったために商圏を形成するに至らず小粒に。

f:id:riyuetan:20190810214500j:image

嘉義の観光産業はこの嘉義文化路夜市に頼っています。他にも旧日本軍監獄跡地や月桃故事館、故宮南院、最近観光誘致のために嘉義市政府が作った檜村などがあり、観光マップにも記載があるものの、いずれもそこに行くための交通手段がないので、そりゃ誰も行かないでしょう。それぞれのスポットが離れているので徒歩移動もできません。

f:id:riyuetan:20190810214433j:image

嘉義市の公共交通はバスがあります。BRTというたいそうな名称をつけた割に2路線、うち1路線は完全に重複してるので実質1路線しかない。走っているのを目撃したことがありません。

13路線ある路線バスもバス停が少ない上に本数も少なく、乗り過ごしたら喫茶店にでも入ろうかというレベルだけど、その喫茶店もない。土日のみ数本運行の路線も多く、都市圏を形成する中核市の中心部とは思えない脆弱な公共交通。

f:id:riyuetan:20190817122302j:plain
嘉義の交通はタクシーに頼ることになるわけですが、タクシースタンドも殆どなくUberも使えず。行ったはいいけど帰ってこれないと言う事態も十分あり得る。ここはマレーシアの山奥か!

 

つづく

 

旅行費?生活費?旅行中の金銭感覚。

海外旅行に出かけると、つい財布のひもが緩んで無駄遣いしてしまう人は多いと思います。旅行慣れしていない両親や知人と一緒に旅行すると、なんだか貧乏旅行に付き合わせて申し訳ない気持ちと同時に、その金遣いに驚きます。

お金を使い切って帰りたい気持ちは分からなくもないですが、本当に欲しくて買うのか?お金を使いたくて買うのか?、わからなくなってる気もしますね。短期旅行だからこそのお金の使い方だと感じます。

f:id:riyuetan:20190817175934j:image

私達は旅行期間が2〜3ヶ月と長いので贅沢三昧はできません。1ヶ月を超えると少し生活感もでてくるし、毎日が特別な日という訳にもいかないので、話題のお店や有名店は縁遠い存在です。観光客ばかりの店には行きたくない!という天邪鬼もありますが(笑)

滞在費で最もお金がかかるのがホテル代ですが、次にかかるのが食費です。三食毎日だから結構な額ですね。

f:id:riyuetan:20190817183412j:image

私達には台湾では1人1食100元(340円)くらいまで、という目安がなんとなくあります。下のメニューの感じです。1品100元超えることは皆無。1人1品ずつ+小菜(だいたい茹で野菜)、というのがいつものパターン。

f:id:riyuetan:20190817183604j:image

f:id:riyuetan:20190817183817j:image

この店は100元は超えないけど、ちょっと高いかな?と思ってしまうので、あまり常用はしません。

f:id:riyuetan:20190817230233j:image

1品100元を超える店は金額的にかなり敷居が高いイメージがあり、主なメニューが3桁だと値段をチラ見して素通りです。マレーシアだと10RM(255円)が大体の目安でしょうか。

食費は2人で1日600元になりますが実際には400元使うかどうかってところ。月にすると41000円程度。まぁこんなもんかと思います。高額紙幣を使う機会が余り無いので、小さいお金を作るのに結構苦労します。

f:id:riyuetan:20190817184334j:image

間違えてもこの様なお店には入る機会はないですね。値段をみて素通りです。でも日本円にすると850円。あれ?日本で外食して1000円以内に収まったら、なんか安く済んだ気になりませんか?

 

「何もしない」と感じる罪悪感

1日中寝て過ごしたりして、何もせずに1日を終えると感じる罪悪感。「今日は(も)、何も出来なかった」時に感じる虚無感。

この感覚、台湾でも感じます。何かしてないとダメな気分になります。もちろん日本でも。でも実はマレーシアでは感じません。

なにが違うんでしょう?ちょっと考えました。日本人は忙しい。台湾人も忙しい。でもマレーシア人は常に6割くらい頑張ってる、そんなイメージ。

f:id:riyuetan:20190812215816j:image

どこにでもある普通の公園に行って、そこに何もしていない人はいるでしょうか?マレーシアはそんな人達に溢れていますが、日本も台湾にもそんな人は見かけません。

自分勝手な言い草かもしれませんが、世の中の空気感が「何もしないのはダメ」という感覚にさせてしまうのかもしれません。

ひとりひとりが頑張りすぎないようにすれば、きっと必死でなければならない空気感は無くなる気がします。日本人も台湾人も100%で常に走り続けています。ここはひとつ、マレーシア人を見習って60%くらいで、どうかひとつ如何でしょう?

 

地雷のお茶「香片」に気をつけろ!

「香片」というお茶があります。いわゆるジャスミン茶のことで、中国語発音でシャンピン。沖縄の「さんぴん茶」は台湾のシャンピンから来た言葉です。中国広東省や香港などでも広く飲まれるポピュラーなお茶です。

しかしこの香片、残念ながらお茶としての地位は非常に低い。沢山の人に飲まれる大衆茶は品質よりも大量に安く作られる事が優先される為が故でしょう。

仕事柄、どうしても香片を仕入れなければならないこともありますが、いつも二度聞きされます。

しかし、香片というお茶は良いものは非常に手の掛かったお茶で、夜明けにジャスミンの花弁を摘み取り、緑茶と花弁をミルフィーユのように層に重ねて花の香りを少しずつ茶葉に移していきます。それを7度繰り返します。回数が多いほど香り高いよいお茶になります。

 

さて、台湾でお茶を買い求める時、お茶屋さんでいくつものお茶を試飲して納得したお茶だけを買い求めるのが一般的な買い方です。気になったお茶を店の主人に淹れて貰います。私も本気の時は2時間以上かけて試飲します。

しかし「香片」の試飲をお願いすると、そこで終了です。いくらお金を出しても良いお茶は絶対にでてきません。店主秘蔵のお茶はもう一生でてきません。「お茶の味がわからない人だ」という烙印を押されます。貴重な台湾茶、売る方も買い手を見ます。

f:id:riyuetan:20190808214230j:image

逆にお店から香片の試飲を薦められたら、そのお店には自慢出来る良いお茶を扱っていない証拠でもあります。が、これはもしや「あなたお売りできるお茶はありません」という意味も含んでいるのでは?「香片でも飲んで(帰って)おくれやす」的な?いけず?

いや、勘ぐりすぎだと思いますけどね。そこに良いお茶があるかどうかは兎も角「観光客相手だったらこれでいいだろう」という思惑は透けて見えます。

これから台湾に行かれる方、くれぐれも「香片」と口走らないように気をつけて下さい。香片の試飲をお薦めされたときも見極めのポイントです。香片は地雷です。高品質ないいお茶を置いている店ほど嫌われますので気を付けましょう。