「松阪豚肉」の謎
台湾には「松阪猪肉」(猪肉は豚肉の意)というものを、割とあちこちで見ることができます。それを看板メニューにしている店も多数。スーパーにも普通に売られてます。
この松阪は日本の三重県松阪市の松阪の事ですが、松阪は豚肉の生産やブランド化はしていません。
台湾では松阪牛が高級霜降り牛の代名詞になっており、それが転じて「霜降り肉」のことを「松阪」と呼ぶようになりました。勿論「高級感」を出す意味もあります。そして希少部位の「豚のほほ肉」が霜降りであることから松阪猪肉と呼ばれるに至ります。
これは完全な誤用ですが、広く市場に受け入れられるに至り、なぜこれを松阪と呼ぶのか知らない台湾人もいるようです。
ちなみに日本の業界団体や政府が「松阪ブランドの盗用ではないか」という事で調査に乗り出した事もあったそうですが、すでに台湾の国民に広く浸透し、霜降り肉の代名詞として使われていることから、そのままになっているみたいです。
こう言った日本語の誤用は数多く存在し、もはやいつ誰が何の理由で付けたのか世代をまたぐ事で分からないものも多数あります。
誤用とは少し違いますが、お盆に家族で焼肉をする習慣も、その理由を知る台湾人はそう多くありません。
日本にもきっと沢山あるのでしょうけど、案外、生活していると気付かないのかもしれませんね。